このページでは、不動産リースバックで起こりうるトラブルとその対策について解説しています。
リースバックは通常の不動産売却とは仕組みが異なりますので、内容を良く理解しないまま契約してしまうと後で後悔することになりかねません。トラブル事例と対策を把握した上で少しでも有利な売却を実現しましょう。
まずは結論から
不動産リースバックのトラブル事例には下記のようなものがあり、そのほとんどは不動産リースバックのサービス内容を正確に把握していないことから起こるものです。
不動産リースバックで起こりうるトラブル4選と対策
不動産リースバックで起こりうるトラブルと対策について教えてください。
はい。不動産リースバックで起こりうるトラブルで多いのは下記の4つですね。
①家賃が払えなくなってしまう。
②再購入ができなくなってしまう。
③退去を求められてしまう
④相続人ともめてしまう
気になりますね。
そうですね。では対策を含めて詳しく見ていきましょう。
よろしくお願いします。
①家賃が払えなくなってしまう
リースバックの家賃は周辺の相場と比べて割高になることが多いと聞きました。
そうですね。おっしゃる通り割高になるケースが多いです。当初は売却価格で支払っていたが徐々に支払いが厳しくなってしまうパターンですね。このようなトラブルを回避するためには以下のような対策をしましょう。
☑契約前に、売却価格と家賃が適切かどうか、1社だけでなく複数社の査定を取り比較検討した上で周辺相場や返済能力を考慮して柔軟に対応してくれる不動産会社を選ぶ
☑家賃を問題なく支払えるかどうか、長期間のシミュレーションを考えた上で利用する
なるほど。買取価格や家賃はそんなに変わらないのかなと思っていましたが。
はい。買取価格や家賃はリースバック業者によってだいぶ異なります。金額で200~300万円程度の差は当然のように出ます。これは不動産会社によって物件の得意・不得意があったり保有コスト等に対する考え方の違いによるものですが、だからこそ「買取価格はいくらで毎月の家賃はいくらなのか」というのを複数社の査定を取って比較検討することが最も重要なのです。
200~300万円も違いが出るなんて驚きです。それなら合見積もりを取ることは絶対に必要ですね。
そうですね。そうして複数社の査定を取って比較検討し、問題なく支払っていけるプランであることを確認した上で利用することが大事です。細かい諸条件については考慮してくれる良心的な不動産会社もありますので、迷われた場合にはご相談頂ければと思います。
買取価格や家賃は不動産会社ごとに異なり査定を取ってみないと分かりませんが、家賃相場については下記サイトで調べることができます。
②再購入ができなくなってしまう
再購入もできるリースバックは魅力的に感じているのですが、こちらも売却価格よりは割高になると聞きました。
そうですね。おっしゃる通り割高になります。だいたい売却価格の1.1倍~1.3倍程度とお考え下さい。これは不動産会社の所有に関するコストや人件費等を考慮して割高になっています。
なるほど。私たちの希望を聞いてもらうのである程度は致し方ないかなと思っておりますが。そうすると家賃と同様、ある程度先を見据えた計画が大事になってきそうですね。
はい。この再購入できなくなってしまう事態を回避するのも、先ほどの家賃と同様に複数社の査定を取って比較検討することが何よりも重要です。具体的には、再購入を重視される場合には再購入価格が安い不動産会社を選ぶようにしましょう。また契約にあたっては事前に打ち合わせた内容が売買契約書にきちんと盛り込まれているか確認することも重要です。双方で決めたことを後でトラブルにならないようにきちんと書面化しておきましょうということですね。
なるほど。買取価格・家賃・再購入価格のどれを自分たちは重視するのかという考え方は参考になります。契約書にきちんと反映されているか確認することも忘れないようにします。
そうですね。査定については他の売却方法との比較や他社との比較が最小の手間で行える査定が理想的ですね。通常は1社づつ査定の申し込みをしますが、この方法ですと毎回同じ情報を入力するのが想像以上に大変ですし、比較も困難になります。査定については当サイトでは【おまとめ査定】をおすすめしています。一度のお申込みで3つの売却方法による査定額と諸費用が最大5社まで分かります。地域ごとに大手から中小まで、良心的な不動産会社と多数提携をしておりますので査定をどこにお願いすれば良いのか迷われた場合は、是非お気軽にご利用して頂ければと思います。
ありがとうございます。あまり時間もないので助かります。
☑再購入価格については、不動産会社ごとに異なるので複数社の査定を取って比較検討し、再購入にかかる費用については、できるだけ緻密な計画を立てた上で利用しましょう。
☑再購入価格について、事前に不動産会社と打ち合わせた内容が売買契約書に盛り込まれているか確認しましょう。
③退去を求められてしまう
退去を求められてしまうというのはどういうことですか。
はい。賃貸借契約には2種類あります。普通賃貸借契約と定期建物賃貸借契約です。
普通賃貸借契約は、賃貸でアパートやマンションを借りる際に使われる一般的な契約で、契約期間が満了して住み続けたいと思った場合、借りている人の意思で更新ができます。一方、定期建物賃貸借契約には更新がありません。契約期間満了後に借りている人が住みたいと思った場合、双方が合意すれば再契約できますという契約になります。
なるほど。ではリースバックの利用にあたっては普通賃貸借契約の不動産会社を選んだほうが良いということでしょうか。
いえ。定期建物賃貸借契約でもきちんと再契約できることが契約書に盛り込まれていればどちらの契約形態でも問題ありません。一部の業者が契約満了時に売却したいなどの理由から適当な理由をつけて再契約させないということがあるようですが、私が見てきたケースでは定期建物賃貸借契約でトラブルになったケースというのはありませんし、皆さん普通に再契約されております。大手の不動産会社の中には社内規定で定期建物賃貸借契約しか採用していない会社もありますが、皆さんきちんと再契約できておりますので、定期建物賃貸借契約だからという理由だけで、候補から除外してしまうのはもったいないと思います。
なるほど。どちらの契約でも希望した場合、きちんと住めるようになっていれば問題ないということですね。不動産会社さんには念入りに確認したいと思います。
はい。そのようなご認識で不動産会社と接すれば全く問題ないかと思います。
☑賃貸借契約の種類を確認しましょう
☑定期建物賃貸借契約で契約する場合には、希望すれば再契約できるのか、今までトラブルはないか、賃貸借契約書に再契約できる文言があるか確認しましょう(ない場合には記載してもらいましょう)
④相続人ともめてしまう
息子や娘は完全に独立しているので、今回は伝えようか迷っているのですが。
そうですね。これはご家庭の問題なので難しいところですが経験上、可能であればできる限りご家族にリースバックを利用することは伝えておいたほうが良いですね。
やはり伝えておいたほうがいいんですね。
はい。これは私のお客様で実際に数件あったケースですが・・
将来、相続が現実的になった際に相続人である子供や孫やご兄弟が「親が亡くなったら実家を相続すればある程度のお金が入る」とアテにしているケースがありました。
実際にはリースバックを利用していて、実家は不動産会社の所有になっていますから相続財産には当然含まれません。そのことで「相続できないの?黙って実家を売ったの?」ということになり関係が悪化してしまったパターンです。
なんとなく想像できます。
不動産リースバックの利用にあたっては、所有者全員の同意は必要ですが(推定)相続人の同意は不要ですから、このような問題が起こりうる可能性はあります。
高齢になってから家族とトラブルになるというのはある意味一番避けたいことです。
このようなトラブルを避けるためにも不動産リースバックを利用する前に、相続する予定の人に不動産リースバックの利用(=自宅の売却)を伝えておいたほうが良いということになります。
なるほど。確かにそうですね。家族間のトラブルは避けたいので伝えておこうと思います。
☑できる限り、家族にリースバックの利用を伝えておきましょう。
今日は色々とありがとうございました。これから査定を取ってみますが不明点がたくさん出てくるかと思いますので、またご相談させてください。
①家賃が払えなくなってしまう。
対策:契約前に売却価格と家賃のバランスが適切かどうか、1社だけの査定ではなく複数社の査定を取り比較検討した上で、総合的に考えて有利な会社を選択しましょう。
②再購入ができなくなってしまう。
対策:再購入価格とその費用について、できるだけ緻密な計画を立てた上で利用しましょう。
再購入条件を書面化しておきましょう。(通常は売買契約書の特約欄に盛り込まれます)
③退去を求められてしまう
対策:賃貸借契約が、「定期建物賃貸借契約」になっている場合に起こりうるトラブルです。
定期建物賃貸借契約で契約すること自体は問題ありませんが、契約期間満了後に普通賃貸借契約と同様、再契約(普通賃貸借契約の更新と同じ意味です)ができるかどうかあらかじめ確認しておきましょう。
④相続人ともめてしまう
対策:できる限り、家族にもリースバックを利用することを話しておきましょう。